組織エンゲージメントとは?
組織エンゲージメントとは、組織(企業)と従業員が相互に信頼関係がある状態のことです。信頼関係と簡単に表現できるものの、お互いが信頼し合うには企業理念や事業戦略、ビジョンなどを共有・共感していることが前提です。
そのためのエンゲージメントとして「ワーク・エンゲージメント」と「従業員エンゲージメント」があります。なお、組織と従業員が強い信頼関係で結ばれていると、「組織エンゲージメントが高い」と表現します。
組織エンゲージメントが高い企業は、従業員1人ひとりが組織を信頼して自分自身と組織の成長を考えて意欲的に取り組む特徴があります。組織力の強化が実現されることで、業績向上などの効果が期待できるでしょう。
エンゲージメントの種類
先述のとおり、エンゲージメントには2つの種類があります。それぞれの内容をご説明します。
ワーク・エンゲージメント
ワーク・エンゲージメントとは、従業員の精神面での健康度合いを示す概念です。従業員の健康や仕事のパフォーマンスに与える影響に関しては日本でも関心が高まっており、ワーク・エンゲージメントの改善などに取り組む企業も存在します。
また、ワーク・エンゲージメントに関連する概念として、「ワーカホリズム」「バーンアウト」「職務満足度」があります。
ワーカホリズムとは、従業員が職を失う不安感を無くすために仕事をしなければならないという心理状態に陥っていることです。ワーク・エンゲージメントでは「働きたい!」などの前向きな精神状態で働くため、ワーカホリズムとは心持ちが異なります。
バーンアウトとは、仕事に対する意欲が失われた状態を意味します。ワーク・エンゲージメントとは対極の概念です。
職務満足度とは、自分が行っている仕事の評価をした結果、ポジティブな心理状態になっていることです。ワーク・エンゲージメントは仕事に取り組んでいるときの精神状態を示しますが、職務満足度は仕事自体への感情を示す点で異なります。
従業員エンゲージメント
従業員エンゲージメントとは、企業に対しどれだけ信頼、共感しているか、またどれだけ貢献したいと感じているかなど愛着心や貢献意欲を示す概念です。それぞれの従業員の内心に生じるものであり、前提として必要になるのが組織への理解と信頼感です。
従業員の仕事の成果とエンゲージメントは必ずしもイコールとはなりません。円滑に業務をこなして成果を出していても従業員エンゲージメントが低い場合があります。一方であまり成果が出ていなくても従業員エンゲージメントが高い場合もあるのです。
なお、従業員エンゲージメントが高いという表現は、従業員エンゲージメントが高い従業員が多いことを示します。従業員エンゲージメントを高めたいときは、後述する構成要素を満たす必要があります。
組織エンゲージメントを構成する要素
組織エンゲージメントを構成する要素として、ワーク・エンゲージメントと従業員エンゲージメントに分けてご紹介します。
ワーク・エンゲージメント
ワーク・エンゲージメントの構成要素は3つあります。「活力」「没頭」「熱意」の3点です。
活力は仕事に対するエネルギー水準が高く、精神的な回復力が高いことを示します。仕事への努力をいとわず、困難な状況になっても根気強く取り組める状態ともいえます。朝目覚めたときに「今日も仕事を頑張ろう!」という精神状態をイメージしてください。
熱意は仕事に対して誇りを持ち、チャレンジ精神がある状態を示します。仕事が自分に活力を与えていると感じる状態といってもいいでしょう。
没頭は時間を忘れてのめり込んでいる状態を示します。フロー状態とも呼ばれます。仕事に没頭しているときに幸せと感じている精神状態をイメージするといいでしょう。
以上の3つの構成要素はさらに5つの内容(要素)が深く関係しています。
職務
職務とは現在の職務内容にやりがいを感じているかです。やりがいを感じなければ、熱意や活力につながりません。やりがいは裁量を与えられると生まれる場合があるため、従業員に一定の権限を持たせることが有効です。
自己成長・支援
自己成長とは組織での成長機会やフィードバックを受ける機会があることです。従業員は上司からの一方的な指示や命令だけではないコーチングを受けると、自主的に動けるようになります。
そのためには、上司から従業員への良質なフィードバックが必要です。従業員はフィードバックがあることで「自分のことを見てくれている」と感じやすくなります。一方でフィードバックがないと、チームや組織への不信感を抱く可能性があります。
また、仕事の成果やその過程に対するフィードバックを受ける機会があると、従業員の自己成長につながります。上司や管理職は良質なフィードバックができるようにコーチングスキルを身につけることが求められます。
人間関係
人間関係は上司や同僚との良好な信頼関係を示します。前項とも通じますが上司からの良質なフィードバックがなかったり同僚とのコミュニケーションが少なかったりすると、良好な人間関係が築けません。
周囲との人間関係が上手くいかないと、従業員は孤立感や孤独感を感じやすくなります。結果として仕事のパフォーマンスが低下したり、最悪のケースでは離職したりします。良好な人間関係があれば相談しやすい職場環境となり、組織への忠誠心が高まりやすいでしょう。
健康
健康は従業員のストレスや仕事量などによる心身の状態を示します。心身に過度な負荷がかかることで従業員エンゲージメントが低下します。過剰なノルマ、対人業務における精神的な負担、長時間労働、膨大な仕事量などは心身の健康を害するものです。
心身のストレスを完全に無くすことは難しいですが、悪影響を及ぼさないか注意が必要です。
承認
承認とは自分の働きぶりや存在を上司や同僚から認められていることです。従業員は正当な評価を受けることでモチベーションが向上します。
さらに日頃の活躍に対する承認行為にもつながるため、従業員エンゲージメントの向上に効果があります。人事評価制度の変更や公開など従来の運営方法を振り返ってください。
従業員エンゲージメント
従業員エンゲージメントを構成する要素も3つあります。「理解度」「共感度」「行動意欲」の3点です。
理解度は企業理念や事業戦略、ビジョンなどを理解して腹に落とし、支持できることを示します。共感度は組織に対する帰属意識を持ち、愛着の気持ちがある状態を示します。行動意欲は自分だけではなく組織の成功のために、何をすべきか自発的に行うことです。
これらの3つの要素には関係性のある3つの内容(要素)があります。
理念戦略
理念戦略には企業のビジョンや行動指針への共感だけではなく、組織(特に経営陣)に対する信頼感が含まれます。上司だけではなく経営陣への信頼感が生まれることで組織全体への愛着心などにつながります。
組織風土
組織風土はチーム内での協力体制が整っていることを示します。また、挑戦するという文化が根付いているかも含まれます。いわゆるチームワークはお互いに信頼関係があると向上します。
そして新たなアイデアを出しやすい環境となり、常にチャレンジし続けることが可能になります。
環境
環境は職場環境やワークライフバランスなどを示します。具体的には働きやすいオフィス、従業員のニーズに合わせた働き方などが挙げられます。
組織エンゲージメントを調べる方法
組織エンゲージメントを調べる方法として、2つの内容をご紹介します。
アンケート
アンケートは組織エンゲージメントを調べる方法としてよく使われています。「はい」「いいえ」など択一式で回答できる設問であれば、結果が数値で表れます。
「求められている以上に仕事に取り組もうと思うか?」「当社で働くことを誇りに思うか?」などシンプルな設問を様々な角度から用意してアンケートを実施してください。
上司と部下の1on1
1on1とは1対1でミーティングを行うことです。従業員の現状の把握に加えて、社内コミュニケーションの活性化の効果が期待できます。
1on1を実施した後は、上司と部下のそれぞれにアンケートを行うと双方のギャップから顕在化している課題が浮き彫りになります。
組織エンゲージメント調査がもたらす企業の変化
組織エンゲージメントを調査して改善を繰り返すことで、企業が変化していきます。どのような変化が生じるのかを解説します。
従業員・社員
組織エンゲージメントを調査することで、組織の課題が浮き彫りになります。現状を数値で把握することで、より良い組織づくりのためのコミュニケーションを生み出すことができます。
これまで内に秘めていた悩みや課題を共有することで、他の従業員と共感できるでしょう。その結果、解決策を話し合いチームや組織をより良い方向に導くことができます。
管理職・企業
部署やチームをまとめる管理職、また組織全体をまとめる経営層にとっても組織エンゲージメントの調査は有益なものです。組織エンゲージメントが可視化されることで、組織やチームの強み、課題が見えてきます。
調査結果から気づいたことをメンバーや部下に言葉にすることで、お互いの理解が深まり、エンゲージメントが向上していきます。
組織エンゲージメントを意識しよう
組織やチームの結束力を高めて業績を向上させたいときは、組織エンゲージメントを意識してください。組織エンゲージメントが高まると、企業と従業員が一体となって業務に取り組めます。
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