従業員満足度とは
従業員満足度とは、従業員が企業に対してどれだけ満足しているかを示す指標です。従業員満足度を決める要素は、仕事内容や人間関係、職場環境などがあげられます。
また、従業員満足度を調査する方法として、アンケートがあります。ES調査(Employee Satisfaction調査)と呼び、さまざまな企業で実施しています。
従業員満足度が高い企業は、生産性が向上したり離職率が低下したりするなどのメリットが生じやすいです。そのため、従業員満足度を把握することに注目が集まっています。
従業員満足度の成り立ち
従業員満足度は、動機付け要因と衛生的要因から成り立っています。動機付け要因とは、仕事の内容や評価、マネジメントなどが該当します。
例えば「成果を正当に評価してもらえた」としたら、モチベーションが向上します。これが動機付け要因です。ただし、衛生的要因への対応が不十分になると、従業員のやりがいを搾取している状態になるため、注意が必要です。
一方の衛生的要因は、企業理念への共有や人間関係、職場環境などが含まれます。例えば、職場内で人間関係が崩れるとストレスを抱えるでしょう。ストレスが解消されない状態が続くと、不満が大きくなり、従業員満足度の低下につながるのです。
しかし、一般論や当たり前な部分を過度に整備しても、満足度の向上につながらない場合があります。同業他社と比較したり社会情勢を顧みたりするバランスが必要です。
従業員満足度のチェック項目
従業員満足度をチェックする際は、下記の4項目を中心に着目してください。
仕事への満足度
1つ目は仕事への満足度です。仕事内容、人材育成、仕事を継続する意思などをチェックします。
質問事項では「現状の仕事に満足しているか」「目標はあるか」「長く働きたいと思うか」「仕事を通じて自己実現をしたいか」などがあげられます。それらの質問内容から、従業員が何に不満を感じているのかを分析します。
職場への満足度
2つ目は職場への満足度です。職場への満足度が低い従業員は、最悪のケースで離職する可能性があります。調査結果をもとに迅速な対策の実行が求められます。
質問事項では企業文化や上司に対する評価、社風などの内容を盛り込みましょう。「上司やチーム内のサポートはあるか」「従業員同士のコミュニケーションは活発か」「社風は自分に合致しているか」などの質問事項でチェックしてください。
処遇・待遇への満足度
3つ目は処遇・待遇への満足度です。人事評価、給料、労働時間、勤務形態などがチェック対象です。ただし、待遇は企業の業績と連動しやすいため、継続的な調査が必要となります。
質問事項では「現在の収入に満足しているか」「残業が多くないか」「希望の休暇はとれているか」「昇給や昇任の評価が適切か」などを用意しましょう。
メンタルヘルスの状態
メンタルヘルスとは、心(精神面)の健康状態です。精神的な健康回復、さらに維持や増進などもメンタルヘルスに含まれることがあります。ストレスなどが原因で精神状態の悪化が起こると業務効率の低下だけではなく、最悪の場合は休職や離職につながります。
従業員の悩みや不満を調査するためにも、質問内容に盛り込んでみましょう。「ワークライフバランスが実現しているか」「仕事の悩みを相談できる人はいるか」「人間関係が良好か」などの質問を用意してください。
従業員満足度向上のための施策
従業員満足度をチェックした後は、その結果を分析して課題を見つけます。そして、従業員満足度向上のための施策を検討してください。下記で施策の一例をご紹介します。
企業の経営理念やビジョンの共有
まずは企業の経営理念やビジョンを従業員と共有していくことが大切です。経営陣や管理職と従業員が一体となって、組織や個人の目標に向かっていく必要があるからです。
ただし、経営陣や管理職から一方的にビジョンや目標を掲げるのではなく、従業員1人ひとりに落とし込んでください。
目標に向けて従業員1人ひとりが担当業務を遂行すると、企業の業績向上につながる実感が得られます。さらに、上司からの定期的なフィードバックがあれば、より継続的に目標の共有ができるでしょう。
職場環境の整備
従業員は待遇面で企業に対して評価をする場合があります。企業が問題を抱えていると待遇面で充実させることが難しいでしょう。自社に課題がある場合は、いち早く改善する必要があります。
現場レベルの具体例では、非効率な業務が多いことから残業が長くなっている可能性があります。その際は、新たな人材確保やシステムの導入による自動化などに取り組む必要があるでしょう。
また、短時間勤務やテレワークが可能であれば、導入することで従業員に多様な働き方を提供できます。育児や介護などの家庭事情を抱えている従業員も働きやすくなるでしょう。
このようなワークライフバランスを意識した取り組みは、従業員の生活にゆとりを持たせます。従業員が心身ともにゆとりを感じられる環境を整えましょう。
福利厚生制度の充実
福利厚生制度が充実し実際に従業員が恩恵を受けると、従業員満足度の向上につながります。ただし、福利厚生制度を充実させるには予算の関係も考えられます。やみくもに制度を整えても、従業員のニーズに合致していなければ無意味です。
従業員の要望をヒアリングにより把握して、本当に必要な内容を優先的に取り入れる必要があります。福利厚生制度を充実させるには、アウトソーシングの利用、各種手当の充実、朝ごはんの割引など、独自の制度などがあげられます。
評価制度の見直し
人事評価が適正に行われていないと従業員が不満を抱き、従業員満足度の低下につながります。人事評価が直属の上司だけから下されるのであれば、主観による判断も考えられます。
どの従業員においても平等な評価を行うには、人事評価制度そのものを変える必要があるでしょう。具体策としては、人事評価システムの導入があげられます。
各従業員の業務経験、仕事の実績、能力など、さまざまなデータをシステムに蓄積して管理をすることで、評価がしやすくなります。
労働時間の削減
従業員の長時間労働が常態化すると、仕事への不平不満が溜まりやすいです。その結果、離職率が高まる可能性があります。長時間労働が常態化する原因には、人手不足があげられます。
「人手不足だから仕方がない」などと対策を打たなければ、企業の経営にも影響を与えかねません。「無駄な業務がないか」「アウトソーシングできないか」「システムの導入で解決できないか」など、多角的に検討していきましょう。
コミュニケーション方法の見直し
職場の人間関係醸成や業務効率の向上などには、コミュニケーションが不可欠です。また、仕事にやりがいを感じていても、人間関係が上手くいかなければ従業員満足度の向上につながりません。
そのため、従業員同士のコミュニケーションを図れる仕組みが必要です。具体的にはチャットツールを取り入れたり、従業員同士が褒め合える機会をつくったりしてみましょう。他にも、定期的な親睦会などもいいでしょう。
従業員満足度の向上に努めよう
企業において従業員満足度が低下すると、さまざまなデメリットが生じます。その事態をさけるために、従業員が抱える悩みを調べる必要があります。さらに、調査から労働環境の改善、人事評価制度の見直しなどが求められます。
課題に対しての具体的な施策を実行して、従業員満足度を向上させましょう。